トップメッセージ

理事長 柴田 弘之

皆さまには、平素より格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

私ども信金中央金庫(以下「信金中金」と略称します。)は、世界的なインフレの進行に伴う各国中央銀行の相次ぐ利上げや日銀によるイールドカーブ・コントロールの運用見直しなど、市場環境が大きく変動するなか、ポートフォリオの質の維持・向上を最重要課題として、中長期的に安定した収益を確保することを優先した財務運営を行ってまいりました。
この結果、2022年度決算の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比97億円減少の262億円となりました。
また、連結自己資本比率(国内基準)は22.09%、不良債権比率は0.23%となり、引き続き、堅固な財務基盤と高い健全性を維持しています。
こうした業績を踏まえ、2023年3月期の優先出資の配当金は、1口当たり6,500円といたしました。

少子高齢化を背景とした労働人口の減少により、中小企業では人手不足が深刻化しており、デジタル技術を活用した業務効率化や生産性向上の必要性が高まっています。一方で、個々の中小企業が単独でDXに取り組むことは容易ではないため、日頃から中小企業と向き合っている信用金庫には、中小企業のデジタル化に向けた支援が期待されています。
信金中金では、このような状況を踏まえ、2022年8月にNTT東日本・NTT西日本と中小企業のDX促進に向けた業務提携を実施したほか、同年10月より、中小企業の日常業務をデジタル化する法人ポータルサービス「ケイエール」の提供を開始いたしました。これらにより、デジタルサービスの提供にとどまらず、ICTコンサルティングなどを中小企業向けに実施することで、DXの定着に向けた取組みを加速してまいります。
そのほか、DX人材育成プログラムを2022年度からスタートしており、初年度は信金中金全職員のDXスキル向上を目的とした研修を実施いたしました。こうした取組みを通じて、全国の信用金庫や中小企業に対してもデジタル技術の活用に向けたサポートを行うことで、中小企業におけるDXを促進してまいります。

SDGs達成のゴールである2030年が近づくなか、持続可能な社会の実現に向けた取組みへの気運が高まっています。特に、大企業を中心にサプライチェーン全体の脱炭素化が進められており、中小企業においてもCO₂排出量削減に向けた取組みが求められています。こうしたなか、地域とともに歩む信用金庫には、中小企業をはじめとした地域経済社会の持続可能性を高めていくことが期待されています。
このような期待に応えるため、信金中金では、信用金庫業界独自の「しんきんグリーンプロジェクト」に取り組んでいます。
本プロジェクトでは、電力を消費する「需要」サイドと、発電する「供給」サイドの両面から脱炭素化を進めるべく、信用金庫お取引先の脱炭素化支援や再生可能エネルギー発電事業の促進等に取り組んでいます。2022年度は、信用金庫お取引先に対するCO₂排出量測定サービスの導入支援や、脱炭素化支援機構への出資等の取組みを実施いたしました。

信金中金といたしましては、信用金庫とともに地域の期待に応えるため、既存の枠組みに囚われることなく、常に一歩先を見据えて社会の変容に対応し、DX・SDGsをはじめとした各種施策を戦略的に推進することで、地域の課題解決に貢献してまいります。

2023年7月
理事長 柴田 弘之