トップメッセージ

理事長 柴田 弘之

皆さまには、信金中央金庫(以下「信金中金」と略称します。)の業務運営に関しまして、平素より格別のご高配を賜り、有難く厚くお礼申し上げます。

世界的なインフレの進行に落ち着きが見られるなか、欧米中央銀行が利下げのタイミングを探る一方で、日本では日銀がマイナス金利政策を解除する等、各国の金融政策が転換点を迎えています。こうした環境のもと、信金中金では、市場環境の変化に柔軟に対応し、中長期的に安定した収益を確保することを優先した財務運営を行ってまいりました。
この結果、2023年度決算の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比22.5%増益の321億円、業績予想に対する達成率は107.1%となりました。
また、2024年3月29日に実施した資本調達により、連結自己資本比率は25.46%となり、引き続き堅固な財務基盤を維持しています。
こうした業績を踏まえ、2024年3月期の優先出資の配当金は、1口当たり6,500円といたしました。

2022年度よりスタートした中期経営計画「SCBストラテジー2022」では、「信用金庫が地域において最も信頼される金融機関となること」を2030年までに目指す姿として定め、その実現に向けて各種施策に取り組んでいます。
計画の柱の一つとして、地域や中小企業の脱炭素化の実現に向けたグリーン戦略「しんきんグリーンプロジェクト」を展開しています。2023年度は、外部機関と連携したソリューションを拡充したほか、継続してESG投融資を積極的に推進しています。さらに、信用金庫と連携し、地域の中小企業向けに脱炭素に資する私募債発行スキームの提供を行う等、信金中金、信用金庫、中小企業が一体となって脱炭素社会の実現に向けた取組みを進めています。
また、DX推進に向けた取組みでは、2023年4月より、信用金庫が持つ膨大なデータを分析し、顧客提案に活かすデータ活用基盤「しんきんDB」を構築いたしました。しんきんDBは、信用金庫のお客さまに対して、ライフステージに応じた最適な提案を行うことを目的としており、信用金庫の提案力強化に資するソリューションとなっています。
引き続き、これらのソリューションを利活用いただいている信用金庫や中小企業からの声を反映し、更なる付加価値向上を目指してまいります。

私が信金中金に入庫して以来、大切にしている言葉の一つに「不易流行」があります。これは「変わらないものの中に新しいものを取り入れていく」という考え方です。信用金庫の「相互扶助(助け合い)」という理念は、今後も変わることはありません。信金中金は、信用金庫の地域経済社会を支える不変の役割に、GXやDX等に関する新たなソリューションを提供することで、信用金庫業界の総合力を高め、持続可能な地域経済社会の実現に貢献してまいります。
2024年度は、中期経営計画の最終年度であり、新たな計画へと繋げていく重要な1年となります。信金中金といたしましては、2030年に目指す姿に向けて、グループ一体となって信用金庫そして地域の課題解決に全力で取り組んでまいります。
皆さまにおかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2024年7月
理事長 柴田 弘之