気候変動への対応
信金中金は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に2019年7月に賛同しました。TCFDの提言に沿って以下のとおり情報を開示します。
ガバナンス
- 気候変動を含むSDGsにかかる対応方針・取組状況を経営会議で審議のうえ、理事会に報告することとしています。また、グループ一体経営の観点から、信金中金およびグループ会社の役員で構成する「グループSDGs推進協議会」を年2回開催し、信金中金グループの気候変動を含むSDGsにかかる方針や取組状況等について協議することとしています。
- 環境問題の解決に向けてより一層積極的に取り組んでいくため、2021年9月に「信金中央金庫グループ環境方針」を理事会で決定しました。
- 気候変動を含むSDGsにかかる取組みについては、2022年4月に設置したSDGs推進部(総合企画部SDGs推進室を独立した部に改組)が中心となって、組織横断的に取り組んでいます。
(信金中央金庫グループ環境方針の概要)
<環境に対する考え方>
信金中央金庫グループは、地球環境の保全が人類共通の責務であると認識し、信用金庫の中央金融機関を核とするグループとして、協同組織の理念に則り、気候変動や生物多様性の危機等の環境問題に対し、自らの業務等を通じ、全国の信用金庫とともにその解決に向けて積極的に取り組んでまいります。
戦略
気候変動を含む環境問題は人類共通の最重要課題であり、2019年9月に策定した「信金中央金庫グループSDGs宣言」を踏まえ、気候関連の機会とリスクおよび事業活動への影響を以下のとおり認識し、課題解決に向け積極的に取り組んでいます。
機会
- 全国の信用金庫とともに、持続可能な社会の実現に向けた活動に積極的に取り組んでおり、こうした取組みは地域経済の活性化に資するとともに、信金中金を含む信用金庫業界のプレゼンス向上に繋がるものと認識しています。2022年4月から、地域や中小企業の脱炭素化を目指して「しんきんグリーンプロジェクト」をスタートしています。地域創生推進部内に設置したグリーンプロジェクト推進室が中心となり、官公庁や外部機関とも連携して、環境問題の解決に向けた取組みを推進しています。
- 世界各国における再生可能エネルギーの普及や技術革新の進展を投資機会と捉え、ESG投融資を推進しています。脱炭素社会への移行にかかるトランジション・ファイナンスにも積極的に対応しています。SDGsの目標期限である2030年に向けて、累計3兆円(2021年度から2030年度まで)をESG投融資額の中長期目標として掲げています。
リスク
- 気候関連の規制強化や技術革新といった低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)や、気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等により事業継続が困難となるリスク(物理的リスク)が、投融資先の事業・財務に影響を与えることにより、間接的に信金中金のポートフォリオが影響を受けるリスクが想定されます。
- 気候変動に伴い信金中金の事業継続が困難となるリスク(物理的リスク)については、信用金庫の中央金融機関という信金中金の特殊性に鑑み、重要なリスクと認識しています。
- 気候変動リスクの管理にあたり、「2℃」と「4℃」の2つのシナリオにより、リスクを定性的に評価しています。


影響
- 2022年3月末時点の炭素関連資産の状況は、貸出金※のうち29.1%となっています。TCFDの提言を踏まえ、エネルギー、運輸、素材・建築物および農業・食料・林産物グループへの貸出を炭素関連資産と定義しています。
※会員(信用金庫)・会員外向け直接貸出の総額(7兆4,691億円)
リスク管理
- 統合的リスク管理の枠組みにおいて、リスクイベントを「信金中金に与えるインパクト」および「発生の蓋然性」の2つの基準により分類・整理したリスクマップを作成し、網羅的に管理しています。気候変動リスクイベントについてもリスクマップに追加し、可視化・共有化しています。
- 気候変動に関連し財務的影響を受ける蓋然性の高いセクターを識別し、「責任ある投融資を行うための事業別投融資ガイドライン」を制定しています。同ガイドラインは継続的に見直しを行っており、これを踏まえて投融資を行うことにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、信金中金に与える財務的インパクトをマネジメントしています。2021年7月には、石炭火力発電向け投融資方針を厳格化しました。
- 赤道原則を2021年4月に採択しました。これに基づき、プロジェクトファイナンス等の意思決定プロセスにおいて、プロジェクトの環境・社会影響を評価するとともに、プロジェクトの運用開始後においても、環境・社会への配慮の状況を継続的にモニタリングしています。2022年4月には、赤道原則取扱要領を制定しました。
- 与信審査の枠組みにおいて、ESG要素が与信先の信用力に及ぼす影響を定性的に評価し、その結果も踏まえて与信判断を行っています。また、ファンド投資においては、委託先運用会社のESG投資態勢を評価し、その結果も踏まえて投資意思決定を行っています。
(責任ある投融資を行うための事業別投融資ガイドラインの概要)
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クラスター弾製造事業への対応
クラスター弾の非人道性を踏まえ、当該事業を行う企業に対する投融資は行いません。
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石炭火力発電事業への対応
石炭火力発電は、他の発電方式と比べて温室効果ガスの排出量が多く、環境への負荷が大きい事業であることから、石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資は行いません。
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パーム油農園開発事業および森林伐採事業への対応
パーム油農園開発事業および森林伐採事業は、違法伐採や生態系への悪影響などの問題が生じる恐れがあります。当該事業を資金使途とする投融資は、地域社会・環境等に与える影響の有無を十分に確認したうえで検討します。
指標と目標
- ESG投融資について、2021年度から2030年度までの累計実行額を3兆円とする目標を設定しています。ESG投融資の対象範囲は、国際原則・政府指針等を参考に、環境・社会課題の解決に資する投融資(債券、融資、ファンド、プロジェクトファイナンス、PFI等)としています。

- 石炭火力発電所の建設を資金使途とする投融資の残高について、2030年度までに2020年度末比50%削減し、2040年度までにゼロとする目標を設定しています。

- パリ協定で掲げられた2050年カーボンニュートラルの実現に向け、信金中金の温室効果ガス排出量(Scope1およびScope2)※2を2030年度までに実質ゼロとする目標を設定しています。再生可能エネルギー由来の電力への切替えや省エネなどを通じて、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

- CO2排出削減のため、「信用金庫業界の環境自主行動計画」に基づき電力使用量の削減目標達成に向けて取り組んでおり、2030年度の削減目標を上回る削減実績を達成しています。

赤道原則への対応
- 信金中金は、赤道原則の採択にあたり、環境・社会影響評価の実施プロセスを定めた「赤道原則取扱要領」を制定し、フロント部門がお客様から受領したプロジェクト情報に基づいて、審査部門が環境・社会影響評価を実施しております。
- 赤道原則の概念および環境・社会影響評価の実施プロセスに対する理解を醸成するため、審査部門において研修ツールを作成し、職員は常時閲覧可能となっております。信金中金では、引き続き社内研修の実施等を通じて、環境・社会配慮に対する社内意識の向上につとめていきます。

気候変動対応を支援するために行う資金供給オペレーションへの対応
日本銀行の「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの運営に関する細目」4.に定める開示に関して、以下のとおり情報を開示します。