リスク管理

信金中金は、金融業務のさまざまなリスクの適切な管理につとめています。

リスクアペタイト・フレームワーク

信金中金が信用金庫の中央金融機関としての役割を果たしていくためには、自らのビジネスモデルおよびリスク文化を前提として、資本に見合った適切なリスクテイクを実施し、継続的に利益を確保していく必要があります。このリスクテイクの基本的な考え方を明確化するとともに、リスクガバナンスを強化することを目的として、「リスクアペタイト・フレームワーク(※1、2)」を構築、運営しています。

(※1)リスクアペタイト:金融機関がその役割を果たすために能動的に取ろうとするリスクの種類と量

(※2)リスクアペタイト・フレームワーク:必要な利益水準、資本によって規定されるリスク許容度およびリスクテイク方針を議論し実行する仕組み

信金中金のリスク文化およびリスクアペタイトの設定

信金中金は、信用金庫の中央金融機関としての機能を永続的かつ安定的に発揮することが求められていると考えています。これに応えていくため、「財務の健全性」と「安定的な利益」の確保が必要であり、過度なリスクテイクは行わないというリスク文化を有していると認識しています。

このリスク文化を踏まえて、信金中金のリスクアペタイトを設定するとともに、連結自己資本比率(国内基準)および配当可能限度額を維持すべき経営指標(リスクアペタイト指標)として掲げています。

リスクアペタイト・フレームワークの運営

リスクアペタイト・フレームワーク導入の目的、リスク文化およびリスクアペタイトにもとづき、収益・リスク・資本のバランスを総合的に勘案のうえ、中期的な目標収益水準(親会社株主に帰属する当期純利益)を設定しています。

また、中期的な目標収益水準を踏まえて、単年度収益計画等の策定、リスクテイクの実行、運営状況の報告・検証、計画等の必要に応じた見直しを行うという「PDCAサイクル」に沿った運営を実施しています。

加えて、リスクアペタイト・フレームワークの内容を明文化したリスクアペタイト・ステートメントを策定しています。

リスクアペタイト・フレームワークの構成

リスク管理の基本方針

国内外の経済情勢、金融市場など、金融機関を取り巻く環境の大きな変化に迅速かつ適切に対応していくためには、よりきめ細かなリスク管理が必要となっています。

信金中金では、経営の健全性を維持しつつ適正な収益を確保するために、リスク管理を経営の重要課題として位置づけており、全役職員はリスク管理の重要性を十分認識したうえで、日々の業務を遂行しています。

リスクをその特性により「コントロールすべきリスク」と「極小化すべきリスク」に大別し、それぞれ管理しています。コントロールすべきリスクは、市場リスク、流動性リスクおよび信用リスクであり、一方、極小化すべきリスクは、オペレーショナル・リスクであり、これらのリスクを統合的に管理するため、リスク管理統括部門を設置しています。

また、組織全体の立場に立ったリスク管理のための横断的な組織として、リスク管理委員会、融資委員会、ALM委員会を設置し、理事会または経営会議で決定された方針などにもとづき、それぞれリスク管理に関する具体的事項を審議、決定しています。

さらに、リスク管理の実効性を確保するため、組織上独立した内部監査部門を設置し、リスク管理の状況について厳格な内部監査を行っています。

統合リスク管理

リスクを統合的に管理するにあたり、計量化可能なリスクに対して、統合リスク管理の手法を導入しています。

統合リスク管理とは、各種リスクをVaR(バリュー・アット・リスク)などの統一的な尺度で計測して合算し、経営体力(自己資本)と対比することによって管理する方法です。

市場リスクおよび信用リスクについては、それぞれVaRを計測しています。また、オペレーショナル・リスク相当額の算出については、自己資本比率規制における基礎的手法を採用しています。

自己資本については、統合リスク管理上の自己資本を定義し、それを各種のリスク限度額やオペレーショナル・リスクなどに配賦しています(※)。また、別途ストレスシナリオにかかる損失額を算出し、自己資本への影響を検証・評価しています。

これらのリスク限度額などについては、年度ごとにリスク管理委員会での審議を経て、経営会議で決定しています。リスク管理統括部門は、リスク量の状況について週次で計測し、各種のリスク限度額を超過しないよう管理しつつ、リスク管理委員会などを通じて、定期的に経営陣および関係部門に報告しています。

(※)連結子会社については、各子会社のリスクを把握し、そのリスク量に応じて資本配賦することで、リスクテイクへの備えとしています。